美容室の主な商品は、カット・カラー・パーマですね。お客さんにとって、これらのサービスを受けるのは「仕方なく」なのか、それとも「楽しみ」なのか?
「髪が伸びたからカットしなくちゃ」
「髪が伸びたから白髪染めしなくちゃ」
「パーマが落ちてきたからかけ直さなきゃ」
と、必要に迫られて仕方なくお客さんが来店されているようなら、少し危機感を持ったほうがいいです。他店に浮気されるリスクが高いからです。
今、10分千円ちょっとでカットしてくれるお店がありますよね。そちらに行くお客さんのほとんどは、髪を切る時間やコストが面倒なものと思っています。つまり、仕方なく髪を切っているのです。
もし、自店のお客さんの中にも同じように思っている人がいたら、早くて安いお店ができたら、そちらに流れてしまいます。安くて早いお店に流れないためには、必要に迫られて仕方なく切るではなくて、「お店に行くのが楽しいから」といった動機を与えなくてはいけません。
どうすれば「楽しい」を動機に来店させられるのか。答えは、「ニュースレター」にあります。
お客さんは弟子、美容師は師匠の関係がリピートを呼ぶ
ニュースレターを通じて、人間関係を育めれば、「あの美容師さんに会いたい。話したい」と思われるようになります。来店する楽しみが生まれます。
ほかにもあります。
ニュースレターは、お客さんを教育する媒体でもあります。教育とは、美容師が先生でお客さんが生徒という立ち位置です。もっと言えば、美容師は師匠でお客さんは弟子です。この関係性がお店にいく楽しみを生むのです。
どういうことか。
美容師(師匠)の仕事は、「私って、こんなヘアスタイルが似合うんだったんだ」と新たな発見を与えることです。そのためには、お客さん(弟子)に「あなたに似合うヘアスタイルはこれですよ」と教えてあげなくてはいけません。
お客さん「今日はどうなさいますか?」と聞いているようでは駄目なのです。「言ったとおりに切ってもらう」だけなら、他のお店でもいいわけですから。
ニュースレターの中で、「こんな顔立ちの人はこんなヘアスタイルがお似合いです」といった教育をしていきます。そうしているうちに、「この間のニュースレターに書かれていたヘアスタイルを試したいのでお願いします」とお客さんから声がかかります。
美容室に行くたびに、新しい自分を発見できる。これこそが、美容室が提供すべき価値ではないでしょうか。
なぜ、「今日はどうなさいますか?」と聞いてしまうのか
99%近くの美容師は「今日はどうなさいますか?」の類の質問をお客さんにしています。
何度も言いますが、お客さんは弟子であるため、自分に適したヘアスタイルを知りません。ヘアスタイルに対して無知です。にもかかわらず、なぜ無知な空いてに希望のヘアスタイルを聞いてしまうのかでしょう。それは、リスクがないからです。
「言われた通りにしました」なら、似合おうが似合わなかろうが、お客さんの責任でもあります。加えて、どんなヘアスタイルが似合うのかを説明する時間も美容師にはありません。だからこそ、じっくり説明できるニュースレターでお客さんにヘアスタイルの知識について教えておくのです。もちろん、カウンセリングが上手ければ、その場で似合うヘアスタイルを提示し、受け入れさせることもできます。
来店された際、
「ヘアスタイルにどんな悩みがありますか?」
「どんなふうに見られたいですか?」
「どんなふうに周りから思われていますか?」
「どんな自分になりたいですか?」
と質問して、「それなら、こんなヘアスタイルはどうでしょうか?」と提案することもできます。
美容師には、聞き出すスキルとお客さんに合ったヘアスタイルを見出す感性が求められます。
「どうなさいますか?」とは比べられないほど、様々な能力が要求されますし、日々、精進していかなくてはいけません。でも、それが「楽しみ」を与える仕事に課せられた使命です。
「楽しみ」を与える職業は、皆芸人職だと思います。お笑い芸人は、「笑ってもらえなくなったら終わり」です。美容師は「楽しさ(新しい自分の発見)を与えられなくなったら終わり」なのです。楽しさを与えられるようになれば、価格競争に巻き込まれることはありません。価格競争は、仕方なく美容室に行く人たちの取り合いだからです。
価格競争に巻き込まれなくなったからといって、ラクになるわけではありませんよ。さらなる上の発見をお客さんに与えるため、日々、美容師は能力を磨き続けなくてはいけないのです。
ニュースレターで教育し続けることの意味とは
お客さんを教育し続けるためには、美容師もまた成長し続けなくてはいけません。「ニュースレターが続けられない」とか「教育関係のネタが尽きた」などと言うのは、美容師の成長が止まっていることを意味しています。逆説的に言えば、「ニュースレターを発行し続けられるお店は、成長し続けている店」です。
ニュースレターの目的は、人間関係を築くことと教育にあります。これを忘れたニュースレターでは意味がありません。そうなれば、ニュースレターを発行し続けられないか、発行していても恩恵を受けることはできないでしょう。
ニュースレターを発行する意味は、実はすごく重いのです。覚悟を決めて、発行してください。
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