ニュースレターは、チラシやDMとは異なり、送った翌日から何かしらの反応が返ってくるわけではありません。そのため、「ニュースレターを発行していて、本当に効果があるのかな?」と疑問に思う人も出てきます。
ボクシングで例えれば、チラシやDMは即効性のある顔面への攻撃ですが、ニュースレターは後からジワジワと効いてくるボディーブローのようなものです。
ニュースレターの効果が表れ始めるのは、半年から1年後と言われています。徐々に失客率が下がり、売上も少しずつ上向き始めます。もしくは、売上減の勢いが緩やかになります。
それでも効果を実感できないとしたら、セールスをしていないか、ニュースレターを真剣に取り組んでいないかのどちらかです。一つずつ説明していきます。
ニュースレターの効果が実感できない原因その1
セールスをしていない
ニュースレターは、お客さんとの人間関係の育成とお客さんの教育を目的としています。別言すれば、顧客リストを育てている、とも言えます。
育てた顧客リストは、セールスをした際に高確率で購入してくれます。たとえ、リストの質が高くなったとしても、セールスしないと売上は上がりません。これでは、ニュースレターの恩恵にあずかれません。宝の持ち腐れです。
喩えるなら、「打ち出の小槌を持っていながら全然振らない」といったところです。振ってください。思いっきり、何回だって振ってください。毎号何かしらのセールスをしてください。これをしていないにもかかわらず、「ニュースレターは効果がない」と言うのは早計です。
ニュースレターは、ダイレクトマーケティングの世界では古くからある手法の一つです。日本でも様々な業種業態で活用されており、その効果は折り紙つきです。ニュースレターは、高価格の商品を一度だけ売って終わりのビジネス(車や住宅)よりも、何度も消費してもらうビジネスに向いているツールです。つまり、美容室にはうってつけのツールなのです。
ツールが悪いのではなく、やり方の問題です。どうやって改善するのか。こちらにフォーカスして取り組むようにしてください。
関連記事:美容室の店販商品がバカ売れする、セールスレターの書き方
効果を実感できない原因その2
真剣に取り組んでいない
ニュースレターは、年賀状に似ています。毎年元旦になると、あなたのもとにも、何十、何百通と年賀状が届くと思うのですが、真心がこもっている年賀状とそうでない年賀状がありますよね。
プリンターでいくつも印刷したんだろうなと分かる年賀状を受け取っても、ありがたいとはあまり思わないはずです。一方、手書き、それも自分だけに向けたメッセージであれば、送り主の真心が伝わります。
人間の感性は敏感です。いい加減に作ったもの、そうでないものを嗅ぎ分けます。ニュースレターを面倒なタスクの一つに捉えていると、その面倒くささがお客さんにも伝わるのです。
忙しいのは分かります。一仕事終えて作るニュースレター、発送業務を増やすニュースレター、確かに手間がかかります。
ですが、ニュースレターは、お客さんとの人間関係を育みながら売上を上げられるツールなのです。売上が下がり、そこから盛り返そうとするほうが絶対に面倒です。ニュースレターは真剣に取り組むだけの価値があるのです。
「真剣に取り組む」と言いましたが、ニュースレターの場合の真剣とは、「大いに楽しむ」の意味になります。発行主が楽しんでいるニュースレターはお客さんにも伝わり、お客さんも楽しんで読んでくれます。
お客さんとの人間関係を育むニュースレターが面倒というのは、裏を返せば、お客さんとの人間関係を作るのが面倒と言っているようなものです。
おそらくその態度は、ニュースレター以外でも出ているはずです。ニュースレターの発行は、お客さんともっと絆を深めないという態度の表れに過ぎません。「とりあえず、ニュースレターさえ出していれば売り上げが上がるんだろ」的な考えでは、成果は出ないでしょう。
小手先のテクニックではなく、本質を理解できなければ、ニュースレターがうまく機能することはありません。その点、問題がないのかしっかり見つめ直してみましょう。
関連記事:美容室の売り上げを上げたければ、ニュースレターを発行しなさい
ニュースレターの本質が見えていない会社の末路
最後に、ある通販会社の話をします。その会社の担当者はニュースレターの意義を理解しており、毎月ニュースレターを発行していました.お客さんからも毎月何十通ものお礼の手紙が届くほど、そのニュースレターは愛されていました。
しかし、社長の理解は薄いものでした。担当者が道楽でしていると捉えていたのです。何度も意味がないからやめるようにと言われ、その都度、必要性を訴えてきたのですが、理解されず、ついに担当者は退職することになってしまいました。
それからニュースレターはぴたりと止まり、それに伴い売り上げは毎年2割ずつ減り始め、5年後には最盛期の10分の1にまで下がってしまったのです。それでも社長は、売り上げが下がったこととニュースレターをやめたことが結びついているなど考えもしませでした。
確かに、ニュースレターをやめただけでここまで売上減は起きません。お客さんを大切にしたいと考える社員を無視する社長は、お客さんへの誠意がない人間です。その態度はほかの場面にも出ます。案の定、電話応対のレベルは劣悪なものになり、お客さんは愛想を尽かして去っていってしまったのです。
最終的にその会社は、多額の負債を抱えて倒産しました。
このエピソードは、ニュースレターが一体どういったものなのか、顕著に表しています。私が実際に見てきた会社ですから、実話です。理想はオーナーもスタッフも一緒になって楽しみながらニュースレターを作ることです。ニュースレターに積極的なスタッフがいたら、大切にしてあげてください。お客さんのことを考える、よきスタッフのはずです。
ニュースレターの本質が垣間見えたなら幸いです。